今日の清心

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2020年03年26日 | 日記

休校中の読書体験記をファイルして図書館の資料にするから、原稿を執筆してきてくださいね、という課題を図書館から出しました。
今日は集まった読書体験記から、「涙」をテーマに3冊の本をご紹介したいと思います。コメントも全て生徒の原稿より引用しました。
最近、本を読んで泣いたことはありますか?

 

『世界地図の下書き』朝井リョウ
感動号泣系が読みたい人は、ぜひ読んでみてください!!

児童養護施設「青葉おひさまの家」で暮らす2人の男の子と3人の女の子の物語です。主人公である小学生の太輔は、両親を事故で亡くして、この養護施設にやって来ました。初めは心を閉ざしていた太輔ですが、次第に心を開いていき・・・。
高校のうちにこの本に出会うことができて、本当に良かったです。高校を卒業して大学生になり、大人になったらきっと今まで以上にたくさんの出会いや別れがあると思いますが、どんなにつらい別れも、複雑な人間関係も、この本を思い出せば乗り越えられる気がします。読み出すと止まらないし、泣いてしまうので、読み返すのはしばらく後でいいですが(笑)。
(高Ⅰ)

『余命10年』小坂流加
読後は決して楽しい気分にはならないけれど、それでも読んでみてほしい・・・。

作者である小坂流加さん自身も病気を患っており、この本の刊行を待つことなく亡くなられている。その分、ありがちな“病気×恋愛”ではなく、様々な箇所から命の大切さが感じられる作品。
「ちゃんと生きて!」――これは主人公の茉莉が、恋人の和人に対して言った言葉。茉莉の余命が短いことを知った和人は、最期の時間を茉莉と共に過ごそうとするが、茉莉はそれを拒否する。未来がある和人が、自分のために何もかも捨てたとしても、それは茉莉にとって嬉しいことではない。茉莉の心の叫びが、心に響いた。
タイトルと、帯の「死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ。」という言葉にひかれて手に取った本だけど、命について考えさせられる、涙なしには読めない1冊だった。
(高Ⅰ)

「成人式」(『海の見える理髪店』より)荻原浩
ぜひ、これからの未来で家族を築く高校生に読んでほしい作品です。

初見で読み終わった後、普通に涙がポロポロ出てきました。娘が亡くなって悲しみにくれる両親が、1通のカタログをきっかけに新しいスタートをきろうとする感動ストーリーです。
「夜遅く、TVの前で一人ビデオを見ている。父の画面には、亡くなった娘の幼稚園生のときの姿が。デレデレな父と、優しく笑う母、発表会前ではしゃぐ娘・・・」
文章には父の感情も表情も何一つ書かれておらず、ただもう画面でしか見ることのできない娘の姿をながめる静かな後ろ姿が、鮮明に描かれている。どんな思いで、どんな表情で・・・。
娘を亡くし、生きる意味を失った父と母が、娘の成人式に出席すると決めてからは楽しそうに過ごす姿に涙腺を壊されました。
(高Ⅱ)

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